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著作権法の1番わかりやすい解説 第2回 著作物について

2019年1月2日

著作物なのかどうか

作詞・作曲をした作者、マンガを描いた作者、小説を書いた作者のことを、一般的には「著者」と言ったりしますね。

著作権法的には、「著作者」といいます。
そして、楽曲・マンガ・小説のことを「著作物」といいます。

このような著作物を作ると、その著作者は、「著作権」と「著作者人格権」という2種類の権利をもつことになります。

逆に、どんなにがんばっても、つくったものが「著作物」でなければ、「著作権」も「著作者人格権」も発生しないわけです。

ですので、「著作物」なのか、そうでないのか、はとても重要です。

著作物とは?

では「著作物」とは何かと言うと、

「著作物」とは、思想・感情を創作的に表現したものと説明されます(著作権法2条1項1号)。

「創作的」「表現」というところがポイントです。

小説、マンガ、イラスト、音楽、映画など、創作的」で「表現」されたものは、「著作物」に当たります。

他方、「創作的」でなければならないので、数学的な真実を発見したとしても、それは「著作物」ではありません。ですので、素数の公式を発見したり、新たな証明方法を発見したとしても、それ自体は「著作物」ではありません。

また、「表現」されたものでなければならないので、アイディアにすぎない場合は、著作物に当たりません。たとえば、新しいスポーツのルールを考えたり、新しい料理のレシピを考えたとしても、それは「著作物」ではありません。

「アイディア自体は著作権法では保護されない」という考え方は、けっこう重要です。

微妙なライン

微妙なところでいうと、小説や歌のタイトルのように、あまりに短い言葉は、「思想・感情の創作」とはいえず、基本的には著作物ではないと言われています。

とはいえ、短歌や俳句は著作物として考えられているので、短いからといって著作物ではないとはいえません。最終的には裁判所が判断することになりますが、「著作物」といえるかどうか微妙な事件はけっこうあります。

音楽でいうと、CMで使われるサウンドロゴが著作物かどうかが争われた裁判がありましたが、和解で終了したので、判決という形では結論は出ていません。

また、写真の場合、被写体を忠実に撮影した写真は「思想・感情の創作」とはいえないので著作物ではないと考えられていましたが、最近の裁判例では、わりと緩やかに写真が「著作物」に当たると判断される傾向にあるように感じます。

共同著作物・結合著作物とは?

「共同著作物」とは、著作物を数人で共同してつくって、分離できない状態になった著作物のことをいいます(2条1項12号)。

最近、音楽の世界では、複数の作曲家が共同で楽曲をつくるcowriteが増えています。
作曲家同士でメロディを直したりコードを直したりして、できあがった楽曲が、「どの部分をどの作曲家がつくった」というふうに分離できない場合、作曲家の「共同著作物」になります。

「共同著作物」の著作権は、著作者の全員の「共有」になります。

「共有」は、「みんなのもの」という意味ではいいのですが、著作権を譲渡するにも、利用するにも、全員の同意が必要になるので(65条1項、2項)、実はやっかいなところもあります。

ちなみに、「共同著作物」に似た概念で、「結合著作物」というものがあります。

たとえば、ある楽曲の作詞はAさん、作曲はBさんという場合、その楽曲は「共同著作物」ではありません。「歌詞は詩集にする」「曲はオルゴールにする」というように、歌詞と曲は分離して利用できるので、「共同著作物」にはあたらないわけです。

ただ、一緒に利用されることが想定されているので、この場合の「歌詞」と「曲」を「結合著作物」と呼びます。

絵本の「絵」と「文章」も、分離して利用できるので、「共同著作物」ではなく、「結合著作物」と考えられています。

二次的著作物とは?

「二次的著作物」とは、ある著作物を元に、新しい創作を加えて作られた新しい著作物をいいます(2条1項11号)。

たとえば、日本語の小説を英語に翻訳すること、フォークソングをロックに編曲すること、マンガを映画化することなどです。

この場合、元の著作物のことを「原著作物」といいます。

「二次的著作物」を作った著作者は、原著作物から新たに加えられた創作部分に「著作権」をもちます。

ちなみに、二次的著作物をつくるときは、原著作物の著作者(や著作権者)の同意を取っておく必要があります。そうしないと、「翻案権」(27条)侵害や「同一性保持権」(20条1項)侵害になってしまいます。翻案権や同一性保持権については後で説明します。

次回は、「著作物」をつくった際に発生する「著作権」と「著作者人格権」の概要について説明します。

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